窪尼御前御返事

執筆年:弘安三
窪尼御前御返事(第六書)(報持妙尼書)      弘安三年六月。五十九歳作。      外五ノ一三。遺二八ノ二五。縮一九五一。類一一〇五。 仏の御弟子の中にあなりち(阿那律)と申せし人は、こくぼん(斛飯)王の御子いえ(家)にたからをみてておはしき。のちに仏の御でし(弟子)となりては、天眼第一のあなりちとて三千大千世界を御覧ありし人、法華経の座にては普明如来とならせ給ふ。そのさきのよ(前世)の事をたづぬれば、ひえ(稗)のはん(飯)を辟支仏と申す仏の弟子にくやう(供養)せしゆへなり。いまの比丘尼はあわ(粟)のわさごめ(早稲米)、山中にをくりて法華経にくやう(供養)しまひらせ給ふ。いかでか仏にならせ給はざるべき。恐恐謹言。  六月二十七日                  日蓮花押   くぼの尼御前御返事 (考三ノ四。)