本尊供養御書(報南条平七郎書)

執筆年:建治二
本尊供養御書(上野第十三書)(報南条平七郎書)      建治二年十二月。五十五歳作。与南条平七郎書      内二三ノ三八。遺二二ノ二一。縮一五三三。類九八〇。 法華経御本尊供養の御僧膳料米一駄、蹲鴟一駄送給候畢。法華経の文字は六万九千三百八十四字、一一の文字は我等が目には黒き文字と見え候へども、仏の御目には一一に皆御仏也。譬へば金粟王と申せし国王は沙を金となし、釈摩男と申せし人は石を珠と成し給き。玉泉に入ぬる木は瑠璃と成る。大海に入ぬる水は皆しははゆ(鹹)し。須弥山に近づく鳥は金色也。阿伽陀薬は毒を薬となす。法華経の不思議又如是。凡夫を仏に成し給ふ。蕪はうづら(鶉)となり、山の芋はうなぎ(鰻)となる。世間の不思議以て如く是。何に況や法華経の御力をや。犀の角を身にたいしぬれば、大海に入るに水身を去る事五尺、栴檀と申す香を身にぬりぬれば大火に入るに焼る事なし。法華経を持まいらせぬれば八寒地獄の水にもぬれず、八熱地獄の大火にも焼けず。法華経の第七に云「火不能焼、水不能漂」等云云。事多しと申せども年せまり(迫)て御使いそぎ候へば筆をとどめ候畢ぬ。  建治二年丙子十二月 日             日蓮花押    南条平七郎殿御返事 (三〇ノ六七。鈔一九ノ五。語三ノ五六。拾五ノ五二。扶一一ノ五一。)