宿屋入道再御状

執筆年:文永五
真筆あり
 去る八月之比、愚札を□しむる之後、今月に至るも是非に付け返報を給はらず。欝念散じ難し。忽々之故に想亡せしむるか。軽略せらるる之故に□一行を慳しむか。  本文に云く 師子不蔑少兎不畏大象を〔師子は少兎を蔑らず、大象を畏れず〕等云云。若し又万一他国之兵、此の国を襲ふ□出来せば、知りて而も奏せざる之失、偏に貴辺に懸かるべし。仏法を学ぶ之法は、身命を捨て、国恩を報ぜんが為也。全く自身の為に非ず。本文に云く_見雨知龍見蓮知池〔雨を見て龍を知り蓮を見て池を知る〕等云云。災難急を見せる之故、度々之を驚かす。用ひざるに而も之を諌む。強