南條殿御返事
執筆年:弘安三年
真筆あり
竝びに・鵄一だ(駄)
・牙二石・故五郎殿百ヶ日等云云。
法華経の第七に云く_川流江河。諸水之中。海為第一。此法華経。亦復如是〔川流江河の諸水の中に、海為れ第一なるが如く、此の法華経も亦復是の如し〕等云云。此の経文は法華経をば大海に譬へられて候。大海と申すはふかき事八万四千由旬、広きこと又かくのごとし。此の大海の中にはなになにのすみ候と申し候へば、阿修羅王○凡夫にてをはせし時、不妄語戒を持ちて、まなこをぬかれ、かわをはがれ、しゝむらをやぶられ、血をすはれ、骨かれ、子を殺され、め(妻)をうばわれ、なんどせしかども無量劫が間一度もそら事なくして其の功に依て仏となり給ひて候が、無一不成仏と申して南無妙法蓮華経と只一反申せる人一人として仏にならざるはなしととかせ給ひて候。釈迦一仏の仰せなりとも疑ふべきにあらざるに、十方の仏の御前にてなにのへんぱにかそら事をばせさせ給ふべき。其の上釈迦仏と十方の仏と同時に舌を大梵天に