観心本尊抄副状
執筆年:文永10
真筆あり
帷一・墨三長・筆五巻給い候い了んぬ。観心の法門、少々之を注し、太田殿教信御房等に奉る。此の事、日蓮、当身の大事なり。之を秘して無二の志しを見ば之を開・{かいたく}さるべきか。此の書は難多く、答え少なし。未聞之事なれば人の耳目、之を驚動すべきか。設い他見に及ぶとも、三人四人座を竝べて之を読む勿れ。仏滅後二千二百二十余年、未だ此の書の心有らず。国難を顧み五五百歳を期して之を演説す。乞い願わくは、一見を歴るの末輩子弟、共に霊山浄土に詣で、三仏の顔貌を拝見したてまつらん。恐恐謹言。
文永十年[太才癸酉]卯月二十六日 日 蓮 花押
富木殿御返事