妙心尼御前御返事

執筆年:建治元
真筆あり
妙心尼御前御返事(第一書)      建治元年八月。五十四歳作。      外九ノ一三。遺一九ノ五三。縮一三一〇。類一〇八二。 すず(種々)の御志送給候畢ぬ。をさなき(幼)人の御ために御まほり(守)さづけまいらせ候。この御まほりは法華経のうちのかんじん(肝心)一切経のげんもく(眼目)にて候。たとへば天には日月、地には大王、人には心、たからの中には如意宝珠のたま、いえ(家)にははしら(桂)のやうなる事にて候。このまんだら(曼荼羅)を身にたもちぬれば、王を武士のまほるがごとく、子ををやのあい(愛)するがごとく、いを(魚)の水をたのむがごとく、草木のあめ(雨)をねがう(楽)がごとく、とりの木をたのむ(恃)がごとく、一切の仏神等のあつまりまほり(守)、昼夜にかげのごとくまほらせ給ふ法にて候。よくよく御信用あるべし。あなかしこ、あなかしこ。恐恐謹言。  八月二十五日                  日蓮花押  妙心尼御前御返事 (考四ノ三。)