妙一尼御返事

執筆年:文永十
真筆あり
 瀧王丸、之を遣使す。  昔国王は自心を以て床座と為し、千歳之間、阿志仙に仕へ奉り、妙法蓮華経の五字を習ひ持つ。今の釈尊是れ也。今の施主妙一比丘尼は、貧道の身を扶けんとて小童に命じ、之を使いとして法華経の行者に仕へ奉る。彼は国王、此れは卑賎。彼は国に畏れ無し、此れは勅勘之身。此れは末代の凡如、彼は上代の聖人也。志既に彼に超過す。来果何ぞ斉等ならざらんや。  弁殿は今年は鎌倉に住みて衆生を教化するか。恐恐謹言。 卯月二十六日 日 蓮 花押 さじき妙一尼御前 妙一比丘尼御返事 日 蓮