妙一尼御前御返事

執筆年:弘安三
妙一尼御前御返事(第三書)      弘安三年五月。五十九歳作。      外二五ノ七。遺二八ノ二二。縮一九四八。類七三六。 夫信心と申すは別にはこれなく候。妻のをとこ(夫)をおしむが如く、をとこの妻に命をすつるが如く、親の子をすてざるが如く、子の母にはなれざるが如くに、法華経、釈迦、多宝、十方の諸仏、菩薩、諸天善神等に信を入奉りて、南無妙法蓮華経と唱へたてまつるを信心とは申候也。しかのみならず「正直捨方便、不受余経一偈」の経文を、女のかがみ(鏡)をすてざるが如く、男の刀をさすが如く、すこしもすつる心なく案じ給べく候。あなかしこ、あなかしこ。   五月十八日                     日蓮花押    妙一尼御前御返事 (考八ノ三八。) ×