大尼御前御返事

執筆年:弘安三年
真筆あり
 ごくそつ(獄卒)えんま(閻魔)王の長は十丁ばかり、面はす(珠)をさし、眼は日月のごとく、歯はまんぐわのねのやうに、くぶしは大石のごとく、大地は舟を海にうかべたるやうにうごき、声はらい(雷)のごとく、はたはたとなりわたらむには、よも南無妙法蓮華経とはをほせ候はじ。日蓮が弟子にはをはせず。よくよく内をしたためてをほせをかほり候はん。なづき(頭脳)をわり、み(身)をせめていのりてみ候はん。たださきのいのりとをぼしめせ。これより後はのちの事をよくよく御かため候へ。恐々謹言。 九月二十日 日 蓮 花押 大尼御前 御返事