右衛門太夫殿御返事
執筆年:弘安二
右衛門太夫殿御返事(池上第九書)(報宗仲書)
弘安二年十二月。五十八歳作。与宗仲書
外二五ノ五。遺六ノ一。縮一九二五。類九三九。 仰も久しく申し承はらず候の処に御文到来畢んぬ。殊にあをきうら(青裏)の小袖一、ぼうし(帽子)一、をび一すぢ、鵞目一貫文、くり(栗)一篭たしかにうけとりまいらせ候。当今は末法の始の五百年に当りて候。かゝ時刻に上行菩薩御出現あつて南無妙法蓮華経の五字を、日本国の一切衆生にさづけ給べきよし経文分明也。又流罪死罪に行るべきよし明かなり。日蓮は上行菩薩の御使にもに(似)たり、此法門を弘る故に。神力品に云「如日月光明能除諸幽冥斯人行世間能滅衆生闇」等云云。此経文に斯人行世間の五の文字の中の人の文字をば誰とか思食す。上行菩薩の再誕の人なるべしと覚えたり。経に云「於我滅度後応受持斯経是人於仏道決定無有疑」云云。貴辺も上行菩薩の化儀をたすくる人なるべし。
弘安二年己卯十二月三日 日蓮花押
右衛門太夫殿御返事
(考八ノ三七。)