内記左近入道殿御返事

執筆年:弘安五年
真筆あり
 追伸。御器の事は越後公御房申し候べし。御心ざしのふかき由、内房へ申させ給候へ。  春の始めの御悦び、自他申し篭候ひ了んぬ。抑そも去年の来臨は曇華の如し。将た又夢歟幻歟。疑ひいまだ晴れず候処に、今年之始め深山の栖、雪中の室え、多国を経ての御使、山路ふみわけられて候にこそ、去年の事はまことなりけるや、まことなりけるやとおどろき覚へ候へ。他行之子細、越後公御房の御ふみに申し候歟。恐々謹言。 正月十四日 日 蓮 花押 内記左近入道殿 御返事