三二二・上野殿御書

執筆年:弘安四年
字、百千万の字あつまて法華経とならせ給ひて候へば、大海に譬へられて候。又大海の一・は江河の・と小は同じといへども其の義ははるかにかわれり。江河の一・は但一水也、一雨也。大海の一・は四天下の水あつまて一・をつくれり。一河の一・は一金のごとし。大海の一・は如意宝珠のごとし。一河の一・は一の あぢわい、大海の一・は五味のあぢわい、江河の一・は一つの薬也。大海の一・は万種の一丸のごとし。南無阿弥陀仏は一河の一・、南無妙法蓮華経は大海の一・。阿弥陀経は小河の一てい(・)、法華経の一字は大海の一てい。故五郎殿の十六年が間の罪は江河の一てい、須臾の間の南無妙法蓮華経は大海のいちてい等云云。  夫れ以みれば花はつぼみさいて菓なる。をやは死にて子にになわる。これ次第也。譬へば